フリーアドレスの導入方法|知っておきたいフリーアドレスの基礎(メリット/デメリット)

kv_free_address_20230317.jpg

1990年代のオランダにて始まった、ABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)という「時間」と「場所」を自由に選択できる働き方。現在ではテレワークの広がりをきっかけに、日本企業でもABWが意識されるようになりました。
仕事の効率化やストレス軽減、社員の自律化を促す新しいワークスタイルのメリットやデメリット、導入のポイントについて詳しくご紹介します。

目次

  1. 1.フリーアドレスとは
  2. 2.フリーアドレス導入の目的
  3. 3.フリーアドレスのメリット
  4. 4.フリーアドレスのデメリット
  5. 5.導入のポイント
  6. 6.こんな企業・組織におすすめ
  7. 7.フリーアドレスのデメリットを補うグループアドレスの紹介
  8. 8.フリーアドレス導入の方法と流れ
  9. 9.まとめ

◆フリーアドレス導入を検討中の方へ◆
・フリーアドレスのメリット・デメリットや成功のポイントが分かる
【無料ダウンロード】はじめてのフリーアドレス導入ガイド
・フリーアドレス化に必要なスマホ内線とは
【無料ダウンロード】スマートフォン内線化資料
・フリーアドレスオフィスの見学、ご相談はこちら

1.フリーアドレスとは

フリーアドレスとはオフィス内にて座席を固定せず、デスクワークできる席を自由に選択できるスタイルのこと。空いているスペースや席を自分で選択し、好きな場所で働きます。 モバイルワークが可能であり、ノートパソコンやタブレットなどを所有していれば、席を固定する必要はありません。 ペーパーレスを実現し、膨大な書類などを必要としない職場ならば、オフィスに自席がなくても効率的に業務が行えます。 カフェのようなおしゃれな空間や大勢が集まれる大きなテーブル、作業に集中できるカウンターなど、従来のデスクワークとは大きく異なるスペースが作れるのも魅力です。 フリーアドレスを導入し始めた企業は多く、従来の働き方やオフィスの在り方を大きく改善させています。

フリーアドレスとは

2.フリーアドレス導入の目的

あえて自席を使わないフリーアドレス導入を検討する際には、その目的について確認しておきましょう。

空間を有効活用

オフィスのスペースには限りがあるため、一人一席に設定すると人数分の座席が必要になります。
ところが業務によっては外出やミーティングが多く、自席をほとんど使わない社員もいるでしょう。
固定した自席を撤廃し、自由に選べる座席の数を社員数よりも減らせば、有効に使えるスペースが確保できます。
部署変更や増員にも対応しやすくなり、レイアウトを変える時にはコスト削減にもつながります。

コミュニケーションの活性化

席が固定されていると、毎日会話をする相手も固定されてしまうもの。情報の共有や人間関係が偏ってしまう恐れがあります。 座席を自由に移動すれば、社員同士の輪が広がりやすくなります。部署を限定しないフリーアドレスを導入すれば、他部署とのコミュニケーションも活性化するでしょう。

働き方の自由化

一人で集中したいとき、会話しながらアイデアを練りたいときなど、場所を変えた方が効率良く仕事が進む業務もあります。 フリーアドレスならば、仕事内容や個人の特性に合わせた場所選びができるため、一人ひとりの作業効率が上がるように。自分で好きな場所を選べるという働き方は、社員のモチベーションアップにもつながるでしょう。

3.フリーアドレスのメリット

フリーアドレスを導入するメリットは、先述の目的と同じもの。導入後にはどのような変化があるのかを、さらに詳しく解説します。

オフィスにとらわれない柔軟な人員配置ができる

組織と空間を結びつけて考えずに済むため、プロジェクトに応じて働く場所を自由に選択しやすくなります。狭いオフィスでも自席を必要としなければ、思い切った増員も可能になるでしょう。業務とオフィス空間を切り離して検討できるため、急なヘルプ要員も確保しやすくなります。

心地よいレイアウトが作れる

離席が多いスペースを減らせば導線も確保しやすくなり、オフィス内の移動も効率よくなるでしょう。狭い通路や出入口付近の障害物に、悩まずに済むようになるかもしれません。自席が必要な人は、充分なスペースを確保できるようになります。固定席を減らしてミーティングスペースを増やせば、急ぎミーティングが必要な際にも、集まる場所を探す手間も省けるようになるでしょう。働き方に合わせた、心地よいレイアウトが作りやすくなります。

社員の自律心を育てる

作業に集中するために集中ブースを使う、アイデアを得るために人の多い場所に移動するなど、自分で仕事に適した場所を選ぶという自律的行動により、仕事への意欲はより高まるようになります。業務に対して目標設定がしやすくなり、社員の成長にもつながるでしょう。共有のスペースを使用するため、使用後の清掃も必須になります。自席のように散らかしっぱなしにはできないため、オフィス環境が整うというメリットも得られます。

4.フリーアドレスのデメリット

実際にフリーアドレスを導入した際の、デメリットについても事前に把握しておきましょう。

居場所が不明になりがち

移動が自由になるぶん、誰がどこに移動したかが分かりにくくなるかもしれません。上司も部下の管理が難しくなり、チーム内の様子を把握しにくくなります。報連相が遅れ、業務に支障をきたすケースもあるでしょう。

席が利用できない

自由に席を選べるはずが、いつも同じ人が同じ場所を利用してしまうケースも出てきます。レイアウトによってはフリースペースが足りず、利用できない人が出てくる可能性もあるでしょう。

ワーカーのストレス増

移動のたびに荷物を持たなければならないこと、清掃する手間が発生することでストレスを感じる人も出てくるかもしれません。固定席がなくなることで自分の居場所がなくなってしまったと感じる人、コミュニケーションが苦手で孤立してしまうと感じる人も出てくるかもしれません。

5.導入のポイント

フリーアドレスのメリット・デメリットを踏まえ、導入のポイントを整理してみましょう。

ルールを設定する

まずはフリーアドレスにする目的を明確にし、運用ルールを設定しておくことが大切です。導入する目的やメリットを伝えたうえで、社員とルールを考えていきましょう。一方的に導入してルールを伝えるよりも、共に検討しながらルールを作ることで、より現場に応じたフリーアドレスが導入しやすくなります。社員も自ら参加することで、フリーアドレスを導入する目的が把握しやすくなるでしょう。

サポートできるツールの準備

荷物の移動や収納場所の確保など、フリーアドレスを活用しやすくなるツールを準備しておきましょう。例えば個々にロッカーを設置すれば、自席がなくても使わない荷物を収納しておけます。PCやタブレットを充電できるコンセントや、郵便物や書類の受け渡しができるスペースを設定している会社もあります。パーソナルロッカーは帰属意識にもつながるため、導入時のレイアウトを検討する際には、取り入れることを検討してみてください。移動しやすいモバイルバッグや掃除用の除菌シートを支給するなど、フリーアドレスを導入する際には必要なツールについても確認しておきましょう。

段階を経て仕組みを作る

最初にルールや運用を決めて導入しても、使用していくうちに問題が発生するかもしれません。また、習慣化するまでに時間がかかることも予想されます。定期的にルールを見直し、段階を経ながら、誰もが使いやすい形へと変えていくことを検討してみましょう。社員が平等に意見を言える委員会などを設置し、共に作り上げていくのがおすすめです。

フリーアドレス導入の目的

6.こんな企業・組織におすすめ

フリーアドレスはどんな企業や組織にも最適とは限りません。業務内容をチェックし、フリーアドレスに向いているかどうかを確認してみてください。

離席する社員が多い

得意先への訪問や営業などの外出が多い。社内にいても会議や打ち合わせで離席する人が多い場合には、フリーアドレスが導入しやすいでしょう。

移動できるツールがある

在席して業務を行う場合にも、ノートPCやタブレットを使用していれば移動はしやすいはず。情報漏洩のリスクが心配されるファイルや多量の紙資料を必要とせず、モバイルツールのみで業務可能であれば、フリーアドレスでも問題ないかもしれません。

固定席にこだわらない社員が多い

自分の席にこだわりがなく、移動や他場所での作業が気にならない社員が多ければ、フリーアドレスもスムーズに導入しやすいでしょう。逆に席が長年固定化されており、私物や荷物が多い社員は抵抗があるかもしれません。業務内容以外にも年齢や立場によって考え方が異なるため、若年層が多い企業の方が取り入れやすいです。

フリーアドレスに向かない職種についても、確認しておきましょう。

長時間離席できない研究職や、常に社内の人から声を掛けられる総務などは、固定席の方が便利です。個人情報などの機密書類を扱う人事なども、社内であっても情報漏洩できない情報を保持している場合には不向きかもしれません。同じ企業でもフリーアドレスが向いている職種と不向きな職種があるため、組織ごとに慎重に検討してみてください。

7.フリーアドレスのデメリットを補うグループアドレスの紹介

フリーアドレスにはいくつかのデメリットがありますが、「グループアドレス」という形を導入すれば解決できるかもしれません。 グループアドレスとは完全フリーと異なり、部署ごとに座席エリアを指定する方法です。決められたエリア内ならば自由に移動できますが、他部署のエリアは使用できません。
居場所の範囲が決められているため、同チーム内にいる人の居場所が特定しやすくなります。同じ業務をしている者同士が近くにいるため、コミュニケーションも取りやすいように。孤立する心配もなく、仲間同士気兼ねなく使いやすいでしょう。
定期的にエリアを移動させれば、同じ人が同じ場所ばかり使う心配もなくなります。移動の度に隣接するグループが異なると、新しいコミュニケーションも生まれるでしょう。
最初から完全フリーアドレスを設定せず、まずはグループアドレスから試してみるのも有効です。

フリーアドレスとグループアドレス

8.フリーアドレス導入の方法と流れ

実際にフリーアドレスを導入する流れを把握しておきましょう。

目的を設定する

なぜフリーアドレスを導入するのかの目的を設定し、社員全員で共有できるようにします。

対応する部署を決める

すべての部署がフリーアドレスに適しているわけではないため、対応可能な部署をピックアップします。フリーアドレスのメリットがある部署から試験的に開始し、他部署も検討してみるのがいいでしょう。

レイアウトを考える

フリースペースを確保するため、まずは「座席設定率」を計算します。外出などで離席が多い社員やテレワークで常に在籍しない社員の数を確認し、座席数の割合を算出します。必要なデスクの数と共に、パーソナルロッカーを含めたレイアウトを考えてみましょう。

運用ルールを決める

お互いに心地よく使えるための運用ルールを設置し、マニュアルを作成します。全社員で共有するのはもちろん、フリースペースにも設置しておくと使いやすくなるでしょう。

定期的に運用を見直す

お社員がルール作りに参加できる体制を整え、定期的にルールや問題点を見直していく機会を設けます。企業や部署によってスタイルは異なるため、社員一人ひとりが意見を出し合いながら、最適なワークスタイルを見つけていきましょう。

フリーアドレスの運用ルールの見直し

9.まとめ

企業や在籍している社員によって、フリーアドレスの形はさまざまなもの。どの企業においても、最初から誰もがメリットを感じる完璧な形に作り上げるのは難しいでしょう。
目的やポイント、デメリットを把握したうえで、まずはグループアドレスから始めてみるのがいいかもしれません。
スペースやワークスタイルに変化をもたらしたい企業は、ぜひ検討してみてください。

◆フリーアドレス導入を検討中の方へ◆
・フリーアドレスのメリット・デメリットや成功のポイントが分かる
【無料ダウンロード】はじめてのフリーアドレス導入ガイド
・フリーアドレス化に必要なスマホ内線とは
【無料ダウンロード】スマートフォン内線化資料
・フリーアドレスオフィスの見学、ご相談はこちら