オフィスで検討すべきBCP対策とは?

オフィスで検討すべきBCP対策とは?

突然の災害によって業務が停止してしまい、事業継続が難しくなるケースは多々あります。
そんなリスクに備え、BCP対策を強化しておきましょう。
オフィス内にて検討すべき方法や手段について、詳しく解説します。
大切な事業と従業員たちを守る方法について、今こそしっかりと対策を練っておきましょう。

目次

  1. 1.BCPとは
  2. 2.BCPの進め方
  3. 3.BCPを意識したオフィスビルの選び方
  4. 4.BCPを意識したオフィス環境の作り方
  5. 5.オフィスで必要な防災備蓄品
  6. 6.BCPにも役立つモバイル充電
  7. 7.まとめ

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1.BCPとは

「Business Continuity Plan(事業継続計画)」を略したBCPとは、災害などの緊急事態時に事業が継続できるようにし、被害を最小限に抑えるための計画です。
自然災害はもちろん、テロ攻撃や情報漏洩事故など幅広く想定し、迅速な復旧と事業継続を維持するためにはどうすべきかを検討します。具体的には従業員の安全と、インフラ環境の確保に重点が置かれます。すでにマニュアルの整備や事前に備えた訓練などを実施している企業もあるでしょう。
BCP対策は自社のリスクを最小限におさえる取り組みであり、その重要性は取引や投資先の選定時にも重視されます。企業が持続可能であるためにしっかりと準備し、BCP対策を実施することは不可避です。では、具体的にどんな対策をすべきかについて、解説していきます。

2.BCPの進め方

BCPの進め方については、下記のステップを参考にしてみてください。

基本方針の作成

BCPの軸となる基本方針とは、BCP対策によって目指すものを決めること。経営理念に沿った、自社ならではの方針を検討してみてください。
大切な社員や顧客を守るのはもちろんのこと、取引先などの他社から信用を得るためにできることは何か。自社の事業を再確認し、何を優先するのかを決めておきます。
いざというときに迷わず動けるように、基本方針を作成したら社内で共有しておきましょう。

社内体制の整備

BCP対策は社内だけでなく、社外企業にも関連します。そのため部門を超えたチームを編成し、社内体制を整えておかなければなりません。
緊急時に指揮をとれる責任者を決め、社員の安否確認やオフィスの安全確認をおこなう担当者と、取引先などの他社との連携ができる担当者を決めておいてください。
複数の事業を手がけている企業は、同時に優先事業を決める必要があります。売り上げへの寄与や遅延による損害の可能性などを考慮し、重要な事業をピックアップしておきましょう。
優先事業が決まったら、ライフラインや交通状況、社員や顧客の被害状況が復旧するまでの時間をシミュレーションしながら事前案を策定します。資源の代替えを確保する手段や、バックアップデータをどこから活用するかなども、あわせて決めておきましょう。

BCPの発動基準を明確にする

BCPの発動基準をハッキリと決め、災害時などにすばやく行動へ移せるようにしておきます。BCP発動時にはどのような体制をとり、誰がどのように動くのかを明確にしておいてください。
どう動くべきかを、細部までしっかりと詰めておくこと。混乱が起きやすい時にも的確な指示を出す人、動く要員を整備することで、冷静に判断しながら行動へと移せるようになります。BCPの普及促進を目的として中小企業庁が作成した運用指針もあるため、参考にしてみてもいいでしょう。

■中小企業BCP策定運用方針 ~緊急事態を生き抜くために~
※別ウィンドウで開きます
https://www.chusho.meti.go.jp/bcp/

社内でBCP対策を共有する

BCP対策についてしっかりと定めたら、内容を文書化し、全社員が共有します。事前に対応手順を把握しておくことで、社員全員が迷うことなく行動できるようになります。BCP対策は中心メンバーだけでなく、経営陣を始めとした全員が共有し、必要時に実行できなければ意味がありません。
社内にてアクセスできる場所にマニュアルを置く。必要事項のみ携帯カードにして配布したり、定期的に研修をおこなったりしておくといいでしょう。

BCP対策は随時見直す

社内に大きな変革が起きたとき。国や社外の大きな組織にて改定があったときには、自社のBCP対策も見直してみてください。予測できなかったリスクが発生したとき、年月がたって変化を感じた際などにも内容を見直し、更新していくことが大切です。時代にあったBCP対策を準備することで、より確かな対策ができるようになります。

見直しをするビジネスマンのイメージ

3.BCPを意識したオフィスビルの選び方

社内でBCP対策をおこなうことも重要ですが、BCP対策を意識したオフィスビルを選ぶという方法もあります。オフィス移転をお考えの際には、ぜひ参考にしてみてください。

防災対策されたビルであること

「新耐震基準」は1981年6月1日に施行されたため、施工後に建築された1983年以降に建てられたビルを目安に探してみてください。新耐震基準は、震度6~7程度の地震で倒壊しないとされています。1981年以前に建てられたビルの中にも新耐震基準を満たしたビルはあるため、念入りに確認してみてもいいでしょう。同時にビル管理会社に、防災対策についても確認しておいてください。
非常時に使える水を蓄えているか、食料などの備蓄はあるのか。定期的な防災訓練やマニュアルの共有があるかもチェックしておきましょう。

非常時の電源が確保されている

大地震が起きた時には、停電が起きることも珍しくありません。電力が停止しても非常用の電源は確保できるのか。どのようなシステムを採用しているのか確認しておいてください。
近年建てられたビルには非常用電源が確保されているものが多いですが、ない場合には管理会社と交渉し、新たに導入することもできるかもしれません。非常用電源は、人命救助の際基準とされる72時間稼働できるものが望ましいです。蓄電池や発電機を導入できるかも、あわせて交渉してみましょう。

非常時の電源のイメージ

周辺の環境をチェック

ビル周辺の環境を把握すべく、自治体が発行しているハザードマップをチェックしておいてください。川や海が近ければ、氾濫や津波の影響が心配されます。帰宅困難者が出た場合の避難所や支援についてもおさえておいてください。火災時の避難ルートや周辺工場が危険物を扱っていないかなど、あらゆるリスクを想定して確認してみましょう。

4.BCPを意識したオフィス環境の作り方

今いるオフィスでできることをしたい。そんな企業は、BCPを意識したオフィス環境をつくる方法について知っておきましょう。

事前にできる地震対策

地震災害にて予測される転倒防止は、オフィス内でも重要な対策法です。家具や機器を壁や床に固定して、転倒防止策をおこなっておいてください。サーバーについても地震対策を施すことで、大切なデータの消失を防ぐことができます。避難ルートも確保し、安全に移動できるルートを2つ用意すること。避難ルートには物を置かないこと。停電時にも明るさを確保できる場所を選ぶようにしてください。自治体の緊急避難には頼らず、企業でできる準備をしておくこと。防災グッズなども準備し、ビル管理会社の避難マニュアルや備蓄も事前にチェックしておきます。
自社ビルであればプロに耐震診断を依頼し、建物自体の耐震性を確認しておくのもおすすめです。問題があれば工事をおこない、万が一に備えて耐震性を高めておきましょう。

データのバックアップ

災害時には、システム障害やデータの消失も発生する可能性が高まります。大切な顧客情報や契約情報はもちろん、自社にとって重要な帳票や製品情報などは日頃からバックアップを取得するだけでなく、拠点を移して保存しておくとより安全です。支社やクラウドを利用するなどして、データを分けておいてください。保存したデータのセキュリティを確保する方法や復旧時の手順などについても、事前に確かめておきましょう。

社員の安否を確認する方法を決めておく

災害時には、社員の安否確認が急務となります。このため、事前に確認方法を決定し、定期的な訓練を実施しておくことが望ましいです。メールや通話にて一人ずつ確認をする方法もありますが、人数が多いと時間もかかるでしょう。複数の担当者を決めて適切な人数を割り振るか、SNSや安否確認システムを複数利用して、速やかに安否を確認できるよう準備しておいてください。

オフィス以外の場所を確保する

今あるオフィスにて災害が起きても事業を継続できるよう、オフィス以外の拠点を設定しておくといいでしょう。本社から距離がある支社やサテライトオフィスがあれば、事業を中断せずに済みます。
緊急時にも支障がないよう業務がおこなえるか、各拠点にてシミュレーションしておきましょう。
自宅やオフィス以外の場所で仕事ができるテレワークを導入すれば、出勤が困難な場合でも作業ができます。災害時には交通機関も停止するため、出勤するだけでも従業員には負荷がかかります。
テレワークができる環境を整えておくことは、BCP対策においても有効な手段といえるでしょう。

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5.オフィスで必要な防災備蓄品

防災備蓄品は普段目に触れない倉庫の奥深くではなく、オフィス空間内に置くことも検討してみてください。いざというときに必要なヘルメットや救助用具は、人がいるオフィス内にあってこそ役立つもの。オフィス内に防災備蓄品を置くスペースを作り、すぐに使えるようにしておくことが重要です。どこに何を置くのかの一例をご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

デスク

地震が発生した際にすぐに頭に被りたいヘルメットは、デスク周りにあると安心です。折りたためるヘルメットやコンパクトなサイズのヘルメットを導入し、空きスペースにフックでかけておくといいでしょう。フリーアドレスの場合には、誰でもサイズが調整しやすいもの、あご紐もコードストッパー式のものを選ぶのがおすすめです。チェアの背面には防災備蓄品を取り付け、迷わずにチェアの備蓄品を使用できるようにしておくと安心です。配布する手間が少なく、配布漏れの心配もありません。徒歩帰宅が必要なときにも防災備蓄品がチェアにあれば、すぐに帰宅できるはず。防災時以外にもチェアの背面を定期的にチェックしておけば、すばやく備蓄品の有無が確認できるため、いざというときに足りないということもありません。

ロッカー

各個人が使っているロッカーに、備蓄品を収納しておくのも有効です。フリーアドレスを導入している場合には、固定されていないデスクやチェアに備蓄品を置くよりも、自分で管理できる個人ロッカーの方が使いやすいかもしれません。
ロッカーに置くのは、1日分の水や食料などのセットです。コンパクトなサイズの備蓄セットを選べば、他の荷物の邪魔になることもありません。混乱しやすい初日は各自の備蓄セットで水分や食事をとってもらい、2日目以降は担当者が再配布する形にするとスムーズです。

デッドスペース

室内のデッドスペースを有効活用し、非常用BOXを置きます。オフィス内には置きにくい、かさばる救助用工具などを収納しておくといいでしょう。
オフィス内にてケガ人が発生し、避難経路が塞がれてしまうケースもあります。救助用工具が倉庫にあっても、倉庫まで行けない場合も想定されます。地震でドアが開かなくなった。什器に人がはさまれた。こんなときに使える救助用工具は、オフィス内にあった方が便利です。
非常用BOXの大きさを確認し、オフィス内におけるデッドスペースを探してみましょう。

保管庫

地震発生時などにすぐに使える救急用品はもちろん、食料や水、トイレなどの備蓄品を収納するための保管庫を用意しておくと安心です。
収納量が多いため、従業員が働くオフィス内に設置するのは難しいもの。そこで執務スペースなどを活用し、保管庫内には収納効率の良い用品をピッタリと隙間なく収納してみてください。
保管庫の場所を従業員全員が把握していれば、配布する手間も省けます。防災担当者が保管をする際に、箱に何が入っているのかを分かるようにしておくこと。または一目で分かるデザインの防災用品を選ぶと、緊急時にも使用しやすいです。

備蓄品のイメージ

天袋収納

天袋があるオフィスなら、有効活用して備蓄品を収納しておくといいでしょう。ただし重量があるものは収納せず、高いところでも安全に取り出せるもののみに留めてください。重さのあるもの、たとえば保存水などは災害時には安全に取り出しにくいことが予想されるため、おすすめできません。
必要な備蓄品をピックアップし、天袋でも安全に収納できるものだけを選んでみてください。

備品・備蓄は、発災から3日分の量を備えておくと安心です。水は一人につき3L、食料は1日3食を目安にします。胃腸薬や解熱薬などの薬を用意しつつ、持病のある方には薬を持ち歩くようアナウンスしておきましょう。毛布や携帯ラジオ、衛生用品などの物資は十分に備えておくと安心です。革の手袋やヘッドライト、新聞紙やレインコートなどもあるとより便利です。
水や食料は社員数に応じて多く用意する場合もあるため、なるべく長期保管が効くものを選ぶこと。防災担当者が随時チェックし、大量廃棄を防ぐために順次入れ替えていくことも忘れないようにしてください。自分たちだけで食べきれない非常食は、フードバンクに寄付するという手もあります。上手に運用できるよう、工夫しながら保管していきましょう。

6.BCPにも役立つモバイル充電

オフィス内にて電源を探すことなく、サッとノートパソコンが使えるモバイル充電。フリーアドレスを導入した企業で使われることも多いアイテムですが、BCP対策にも役立ちます。災害時に停電が起こったとき、モバイル充電があれば緊急用の電源として活用できるように。スマートフォンを充電できれば、災害時にも外部に連絡したり、情報をキャッチしたりして適切な行動が取れるでしょう。
企業用に導入するのならば、場所をとらないデザインでありながらも、大容量バッテリーを選ぶこと。普段から活用していれば災害時にも焦らず、適切に使いこなせるでしょう。
オフィス内の電源増設を不要とし、配線を減らすことでスマートに見せるモバイル充電は、災害時以外にも活躍します。防災備蓄品を用意する際に、同時にモバイル充電を導入することも検討してみてください。

7.まとめ

いつ起きるか分からない自然災害は、予想以上に大きなダメージを与えることも少なくありません。事業を継続させるためのBCPは、どんな企業にとっても不可欠な取り組みといえます。
BCP対策を強化することで、災害時にもリスクを最小限に減らせるかもしれません。自社でできることを模索しつつ、プロのアドバイスを取り入れることも検討してみてください。

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